玄関の上がりかまち(靴を脱いで上がる段差)が高くて、家に入るのがつらい。この相談は本当に多いです。
対策は手すり・式台・段差解消のどれかになりますが、選び方を間違えると使われなくなります。この記事では、寸法ごとにどれを選ぶかと、介護保険が使える範囲を整理します。
まず高さを測る
判断はここから始まります。玄関土間から床までの垂直の高さをメジャーで測ってください。
| 高さ | 基本の対応 |
|---|---|
| 〜15cm | 手すりだけで上がれることが多い |
| 15〜25cm | 手すり+式台1段が基本形 |
| 25〜40cm | 式台1〜2段+手すり。踏面の広さが重要になる |
| 40cm以上 | 式台2段以上、または段差解消機も検討 |
目安として、1段あたり15〜18cm程度に収まると上がりやすくなります。「1段で頑張る」より「2段に分ける」ほうが、結果的に楽なことが多いです。
式台は「踏面の奥行き」で決まる
式台を入れるとき、多くの方が高さだけを見ます。ですが実際に使いやすさを決めるのは踏面(足を乗せる面)の奥行きです。
- 奥行き30cm未満 … 足がはみ出す。振り返って靴を履くときに不安定
- 奥行き35〜40cm … 片足を乗せて体重を移せる。ここが目安
- 奥行き45cm以上 … 座って靴を履ける。ただし玄関が狭くなる
「そこに座って靴を履くか」で必要な奥行きが変わります。立ったまま上がるだけなら35cm前後、腰かけて履くなら45cm前後を見てください。
幅も重要です。介助者が横に付けるかを考えると、想像より広く取ったほうがよくなります。
手すりは「縦」から
上がりかまちの動作は、体を持ち上げる動きです。この動きには縦手すりが効きます。
- 縦手すり … 段差を上がる・下りる動作を支える。上がりかまちの基本
- 横手すり … 廊下を歩く、体を横に移す動作を支える
- L字 … 上がってから向きを変える動作がある場合
位置は段差のすぐ脇、握る高さは床から750〜800mm前後が一般的な目安ですが、実際にはご本人に握ってもらって決めるのがいちばん確実です。数字より、その方の身長と握る位置に合わせてください。
そして下地の確認が必須です。玄関まわりは化粧材の裏に下地がないことが多く、ビスが効かないまま付けると、体重をかけた瞬間に外れます。ここは自分で判断せず、業者に見てもらってください。
介護保険は使えるか
介護保険の住宅改修(支給限度基準額20万円)の対象工事は6種類です。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑り防止や移動を円滑にするための床材の変更
- 引き戸などへの扉の取替え
- 洋式便器などへの便器の取替え
- 上記に付帯して必要となる工事
上がりかまちの手すり取付けは1番、段差の解消は2番に該当します。ただし注意点が2つあります。
①置くだけの式台は対象になりにくい
固定せずに置くタイプは福祉用具として扱われることがあり、住宅改修の対象にならない場合があります。固定するかどうかで扱いが変わるため、事前に確認してください。
②工事より先に申請が必要
これがいちばん多い失敗です。事前申請の前に着工すると、給付の対象にならないことがあります。「先に工事してから申請」は通りません。必ずケアマネジャーに相談してから動いてください。
※支給限度額のリセット条件(要介護度の著しい変化、転居)や、償還払い・受領委任払いの扱いは自治体で異なります。必ず市区町村の窓口でご確認ください。
よくある失敗
- 高さだけ見て式台を買い、踏面が狭くて怖くて使わない
- 手すりを横向きに付けてしまい、上がる動作に効かない
- 下地がない壁に固定して、後で緩む
- 先に工事して、介護保険が使えなくなる
- 玄関が狭くなり、車いすが入らなくなる
最後の項目は見落とされがちです。今は歩けていても、数年後に車いすになる可能性がある場合は、式台の大きさを決める前に通路幅を確認してください。
よくある質問
Q. 式台は自分で買って置いてもいいですか
置けます。ただしずれる・傾く・介護保険の扱いが変わるという点は理解しておいてください。滑り止めだけでは、体重をかけたときに動くことがあります。
Q. 費用の目安は
手すり1本の取付けと、式台の設置では大きく異なります。下地の状況と現場の納まりで変わるため、見積もりを取るのが確実です。1社だけでなく複数社で比べてください。
Q. 賃貸でもできますか
固定を伴う工事は所有者の承諾が必要です。承諾が得られない場合は、置き型の式台や可搬型の手すりという選択肢になります。
まとめ
- まず土間から床までの高さを測る。1段15〜18cm程度が上がりやすい目安
- 式台は高さより踏面の奥行き。立って上がるなら35cm前後、座って履くなら45cm前後
- 上がりかまちには縦手すり。位置と高さは実際に握ってもらって決める
- 下地の確認は必須。自分で判断しない
- 介護保険の住宅改修は工事より先に申請。置くだけの式台は扱いが変わることがある
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