屋外の手すりは、室内と条件がまったく違います。段差の高さも幅も家ごとにバラバラ、勾配があり、雨に濡れ、夏は熱く冬は冷たくなる。既製品をそのまま当てはめられる現場のほうが少ないのが実情です。
そこで使われるのが、パイプとジョイントを組み合わせて現場で形を作る組立式の屋外手すり部材です。この記事では矢崎化工の「イレクター」系の屋外手すりを例に、なぜ屋外手すりに組立式が向くのか、どんな点を確認して施工するのかを解説します。
この記事でわかること
- 屋外手すりで既製品より組立式が向く理由
- 屋外専用パイプの特徴(夏に熱くならない理由)
- 手すりの高さ・形状を決めるときの考え方
- 固定方法(コア抜き/アンカー止め)の選び方
- 費用の目安と、介護保険が使えるか
屋外手すりに組立式が向く理由
矢崎化工の屋外手すり部材です。
手すりの形状に自由がきき、ご本様の身体状況や現場環境に合わせた施工ができます。
屋外専用パイプの特徴
屋外手すりでいちばん軽視されがちなのが「触れるかどうか」です。真夏の直射日光を浴びた金属パイプは、素手で握れないほど熱くなります。冬は逆に、冷たすぎて握るのをためらいます。
矢崎化工の屋外専用手すりは、プラスチック被覆ステンレスパイプを使っています。
- 夏の直射日光でも熱くなりにくい
- 冬も冷たくなりにくい
- ステンレス芯なので屋外でも錆びにくい
注意点として、この被覆パイプは手すり専用で、支柱には使用できません。支柱には支柱用の部材を使います。ここを取り違えると強度が足りなくなります。
高さと形状の決め方
高さ
一般的な目安は750〜800mm(立ったときの大腿骨大転子=腰骨の出っ張りの高さ)です。ただしこれは平地での話で、階段では踏面の先端(鼻先)を結んだ線から測ります。
実務では、実際にご本人に上り下りしてもらい、自然に手が伸びる位置に合わせます。数センチの違いで「使える手すり」と「使わない手すり」に分かれます。
形状
組立式の利点が最も出るのがここです。
- 端部を下に曲げる:袖が引っかかるのを防ぎ、「ここで終わり」が手で分かる
- 上り口・下り口で水平部分を延ばす:昇降の前後で姿勢が安定する
- 途中で高さを変える:段差の途中で立ち止まる方に合わせられる
- L字・コの字に回す:方向転換する場所で手を離さずに済む
手すりは途切れさせないのが原則です。持ち替えのタイミングでバランスを崩す事故が多いためです。
固定方法の選び方
| コア抜き(埋め込み) | アンカー止め(ベース固定) | |
|---|---|---|
| 強度 | 高い | コンクリートの厚み次第 |
| 見た目 | 足元がすっきり | ベースプレートが出る |
| つまずき | しにくい | 引っかかることがある |
| 向く場面 | 土間コンが厚い、長く使う | 土間が薄い、配管が近い |
詳しい施工手順は手すりのコア抜き工事とは?乾式・湿式の違いと施工手順・費用にまとめています。
費用の目安
| 内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 部材費(1〜2m程度) | 20,000〜60,000円 |
| コア抜き(1か所) | 8,000〜20,000円 |
| 組立・施工費 | 20,000〜50,000円 |
| 合計(玄関アプローチ1か所) | おおむね6〜15万円 |
支柱の本数と手すりの長さで大きく変わります。
介護保険は使えるか
使えます。玄関から道路までの通路など、日常生活で使用する動線であれば介護保険の住宅改修(手すりの取付け)の対象です。支給限度基準額20万円の枠内で1〜3割負担になります。
- 着工前の申請が必須(工事後の申請では支給されません)
- ケアマネジャーによる「住宅改修が必要な理由書」が必要
- 敷地の所有者が本人でない場合は承諾書が必要
- 門扉から外の公道部分は対象外
なお、工事をしない「置くだけ」の屋外手すりなら、住宅改修ではなく福祉用具貸与(レンタル)になります。20万円の枠を使いたくない場合や、身体状況が変わりそうな場合は、まずレンタルで試すという選択肢もあります。
よくある質問
Q. 既製品の手すりではだめですか?
現場の条件が既製品の寸法に合うなら問題ありません。ただし屋外は段数・幅・勾配が家ごとに違うので、合わないことのほうが多いのが実情です。
Q. DIYでできますか?
部材自体は入手できますが、おすすめしません。屋外手すりは体重を大きく預ける前提の設備で、固定が甘いと転倒事故に直結します。また土間下の配管を傷つけるリスクもあります。
Q. 施工にどれくらいかかりますか?
玄関アプローチ1か所であれば、半日〜1日が目安です。コア抜きの場合はモルタルの養生時間が必要なので、施工当日は使わないよう伝えておきます。
Q. 賃貸でもできますか?
敷地に穴をあけるため、所有者の承諾が必要です。承諾が得られない場合は、置き型の屋外手すり(レンタル)を検討してください。
まとめ
- 屋外は現場条件がバラバラなので、形状を自由に作れる組立式が向く
- プラスチック被覆パイプは夏に熱くなりにくく、冬も冷たくなりにくい
- 被覆パイプは手すり専用。支柱には使えない
- 高さは750〜800mmが目安だが、実際に歩いてもらって決める
- 端部を下に曲げる、上り口・下り口を延ばすなど、途切れさせない設計にする
- 費用は玄関アプローチ1か所でおおむね6〜15万円
- 日常生活の動線なら介護保険の住宅改修の対象。着工前申請が必須
屋外手すりを検討中の方へ
屋外手すりは、現場を見ないと形も金額も決まりません。1社の見積もりだけでは適正か判断できないので、複数社に見てもらってください。介護保険の申請代行に対応しているかも、あわせて確認しておくとスムーズです。
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