戸建ての床下はこうなっている リフォームで動かせるもの・動かせないものが決まる理由

「この壁を取って部屋を広くしたい」「トイレをこっちに移したい」——そう相談したときに、業者から返ってくる答えは家によってまるで違います。あっさりできる家と、「それは難しいですね」と言われる家があります。

その差は床下にあります。ふだん見えない場所ですが、ここに「動かせるもの」と「動かせないもの」が全部決まっています。

ここでは新築工事の写真を使って、戸建ての床下がどうなっているかを見ていきます。これを知っておくと、リフォームの見積もりが読めるようになります。

戸建ての基礎

 戸建ての住宅の基礎になります。


この次の工程で土台を敷き、棟上げに進みます。

こちらは土台と基礎とをつなぐボルトになります。


長いボルトはホールダウン金物などを取り付けるためのもので、土台ではなく柱を基礎に固定します。

こちらが床下の配管です。
水色の管は水が通ります。ピンクの管は湯が通ります。



配管もこのようにトイレやキッチン、浴室、洗面室の器具の場所まで配置されています。

浴室の基礎は断熱効果を高めるために基礎部分に断熱材を貼り付けます。その他の部屋に関しては断熱は床下地材で対応し、床下に通気性を持たせます。






①「抜けない柱」がある——だから間取りは自由にならない

基礎と土台をつなぐボルトのうち、長いボルトはホールダウン金物を取り付けるためのものです。これは土台ではなく柱を基礎に直接留めています。

これは地震で建物が浮き上がろうとする力に抵抗するための金物です。つまり、ここに留まっている柱は建物の耐震性能そのものを担っています。「邪魔だから抜く」ということはできません。

マンションの間仕切り壁は構造を支えていないので比較的自由に動かせますが、戸建てはそうはいかないのはこのためです。「マンションに住んでいる知り合いは簡単にできたのに」という比較は、条件が違います。

手すりを付けるときに「この壁には下地がある/ない」という話が出るのも、根はここです。壁の中に何がどう入っているかは、家ごとに決まっています。

② 水まわりの位置は最初から決まっている

床下には配管が通っています。水色の管は水(給水)、ピンクの管は湯(給湯)です。色分けされているので、床下点検口から覗くと分かります。

そして配管は、トイレ・キッチン・浴室・洗面室と、器具の場所まで配置されています。

ここが大事な点です。水まわりを別の場所に移すというのは、この配管を全部やり直すということです。床を壊し、配管を引き直し、床を戻す。だから「トイレの便器を新しくする」のと「トイレの位置を動かす」とでは、金額が一桁変わることがあります。

とくに排水は、水を流すための勾配が必要です。給水・給湯は多少遠回りできても、排水は勾配が取れないと成立しません。「移せません」と言われるのは、たいてい排水が理由です。

③ 浴室だけ断熱の考え方が違う

浴室の基礎は、断熱効果を高めるために基礎部分に断熱材を貼り付けます。ほかの部屋は床下地材で断熱し、床下に通気性を持たせる——という作り分けをしています。

浴室だけ別扱いなのは、水を使う部屋であり、寒さがそのまま健康リスクになる場所だからです。冬場の浴室と脱衣所の温度差は、ヒートショックの原因になります。

古い在来浴室が寒いのは、この断熱がされていないことが多いためです。浴室を直すときは、床材や手すりだけでなく、断熱がどうなっているかも確認してください。

この知識がリフォームでどう効くか

床下の構造を知っていると、見積もりの読み方が変わります。

  • 「壁を抜けません」と言われたとき … 耐力壁か、ホールダウン金物で留まった柱がある可能性。理由を聞いてください。納得できる説明ができる業者かどうかの判断材料にもなります
  • 「水まわりの移動は高い」と言われたとき … 排水の勾配が理由であることが多い。移動距離を短くする案がないか相談してみてください
  • 「床下を見せてください」とお願いする … 床下点検口から状況を確認してもらえます。配管の劣化、断熱の状態、シロアリの痕跡が分かります
  • 段差の解消を考えるとき … 床を上げるのか、スロープを付けるのか、敷居を削るのか。床の構造で選べる方法が変わります

介護リフォームで床下が関係する場面

介護保険の住宅改修(支給限度基準額20万円、原則1割~3割負担)の項目のうち、床下の構造が関わってくるのは主にこの2つです。

  • 段差の解消 … 部屋と廊下の段差をなくす、敷居を撤去する、床のかさ上げをする。既存の床の作りによって工法と金額が変わります
  • 滑りにくい床材への変更 … 既存の床の上から張るのか、剥がしてから張るのかで手間が違います

いずれも着工前にケアマネジャーを通じて市町村へ事前申請が必要です。工事後の申請は認められません。

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「できません」と言われた工事でも、別の業者なら別の方法を提案してくることがあります。理由を説明できる業者かどうかも含めて、複数社に見てもらってください。
リフォーム一括見積もりサイト【Re:est(リエスト)】

まとめ

  • 基礎と土台をつなぐ長いボルトはホールダウン金物用。柱を基礎に直接留めており、抜けない
  • 戸建てで間取り変更の自由が利かないのはこのため。マンションとは条件が違う
  • 床下の配管は水色が給水、ピンクが給湯。器具の位置まで最初から決まっている
  • 水まわりの移動が高いのは、主に排水の勾配が理由
  • 浴室だけ基礎に断熱材を貼る。ほかの部屋は床下地材で断熱し床下は通気させる
  • 古い在来浴室が寒いのは、この断熱がされていないことが多いため

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