畳の部屋に介護ベッドを入れたい、車いすで動けるようにしたい、あるいは単純に畳が傷んできた——和室をフローリングにする理由はさまざまですが、工事の中身を知らずに見積もりを取ると、金額の差の理由が分かりません。
ポイントは「畳の厚み55mm分をどう埋めるか」です。畳をはがすと、床が55mm下がった状態になります。ここをかさ上げして、廊下や隣室と高さを揃える必要があります。この工程があるかないかで、金額も仕上がりも変わります。
この記事では、実際の施工工程を写真つきで解説し、費用の目安と介護保険が使えるかを整理します。
この記事でわかること
- 畳からフローリングへの工事で実際にやること
- なぜ55mmのかさ上げが必要なのか
- 費用の目安と、金額が変わる要因
- 介護保険の住宅改修が使えるか
- フローリングにするデメリット(先に知っておくべき点)
実際の施工工程(写真つき)
畳の床をフローリングにする工事です。家具などは先にどかします。重たかったり大きかったりする家具がある場合は工事が始まる前から大変です。
まずは畳をめくりましょう。
木造の戸建て住宅なら、このような床が出てくると思います。ここでは下地はしっかりとしているか、床の勾配などをチェックしましょう。
下地が弱かったらこの時点で補強することが必要です。
畳の厚みはだいたいが55ミリです。
55ミリ分かさ上げ工事をします。フローリングは捨て貼り工法なので、かさ上げ部材の一番上は構造用合板で施工しましょう。
ボンドと隠し釘で施工していきます。
工程のポイント
1. 家具の移動は先に済ませる
当たり前のようですが、ここでつまずく現場は多いです。タンスやピアノなど、重くて大きい家具がある場合は、着工前に移動先を決めておいてください。当日「どこに置きますか」となると、工事が止まります。
2. 下地の確認と補強
畳をめくると、木造戸建てなら荒床(下地板)が出てきます。ここで必ず確認するのが下地の強度と床の勾配です。
畳は柔らかいので多少の不陸(凸凹)を吸収してくれますが、フローリングは硬いので下地の状態がそのまま出ます。踏んでブカブカする、傾いている、といった場合はこの時点で補強・調整が必要です。ここを飛ばすと、張り終えてから「歩くと軋む」という結果になります。
3. 55mmのかさ上げ
畳の厚みはおおむね55mmです。畳をはがした分だけ床が下がるので、根太などでかさ上げして高さを戻します。
フローリングは捨て貼り工法(下に合板を敷いてから仕上げ材を張る)が基本なので、かさ上げ部材のいちばん上は構造用合板で仕上げます。合板を挟むことで、荷重が分散して床がしっかりします。
4. スタート地点を決めて張る
フローリングは張り始めの位置で仕上がりが決まります。部屋の形が正確な長方形でないことも多いので、どこを基準にするかを先に決めてから張り進めます。固定はボンドと隠し釘です。
費用の目安
| 内容 | 費用の目安(6畳) |
|---|---|
| 畳の撤去・処分 | 1〜3万円 |
| 下地補強(必要な場合) | 2〜8万円 |
| かさ上げ・構造用合板(捨て貼り) | 4〜8万円 |
| フローリング材+張り手間 | 8〜20万円 |
| 見切り材・巾木の調整 | 1〜3万円 |
| 合計(6畳) | おおむね15〜35万円 |
金額が変わる要因
- フローリング材のグレード(複合フローリングか無垢材か)
- 下地の傷み具合(腐り・シロアリがあれば大幅に増える)
- 部屋の広さと形状(変形間取りは手間が増える)
- 敷居・押入れとの取り合いをどう納めるか
- 家具の移動を業者に頼むかどうか
下地の状態は畳をめくってみないと分かりません。見積もり時に「下地に傷みがあった場合の追加費用の目安」を確認しておいてください。
介護保険の住宅改修は使えるか
条件付きで使えます。介護保険の住宅改修には「滑りの防止及び移動の円滑化等のための床材の変更」という項目があり、畳からフローリング(または滑りにくい床材)への変更はこれに該当します。
ただし注意点があります。
- 着工前の申請が必須(工事後の申請では支給されません)
- ケアマネジャーによる「住宅改修が必要な理由書」が必要
- 支給限度基準額は20万円。手すりや段差解消と同じ枠を共有します
- この工事は総額15〜35万円になることが多く、枠を超えた分は全額自己負担
- 単なる模様替え・美観目的では対象外。本人の身体状況から見て「必要である」ことが理由書で説明できる必要があります
- 持ち家でない場合は所有者の承諾書が必要
「畳だと車いすが動かせない」「歩行器のキャスターが引っかかる」「ベッドの脚が沈んで不安定」といった具体的な支障があるかどうかが判断の分かれ目です。まずケアマネジャーに相談してください。
フローリングにするデメリット
良いことばかりではないので、先に知っておいてください。
- 転んだときの衝撃が大きい:畳と違ってクッション性がありません。転倒リスクが高い方の場合、骨折につながることがあります
- 冷たい:冬場の底冷えは畳より強くなります
- 滑る場合がある:フローリング材の種類によっては、靴下で歩くと滑ります。介護目的なら「滑りにくい」仕様の床材を選んでください
- 音が響く:集合住宅では階下への音に注意が必要です(管理規約で遮音等級が指定されていることがあります)
転倒リスクが高い方の場合、フローリングではなくクッションフロアや衝撃吸収性のある床材を選ぶという判断もあります。目的が「車いす・歩行器を動かしやすくする」なのか「滑りを防ぐ」なのかで、選ぶ材料は変わります。
よくある質問
Q. 畳の上に直接フローリング材を敷けませんか?
置くだけのウッドカーペットならできます。ただし畳の柔らかさはそのまま残るので、車いすや歩行器を使う目的なら効果は限定的です。また、下に湿気がこもってカビる原因にもなります。
Q. 工期はどれくらいですか?
6畳で1〜2日が目安です。下地の補強が必要な場合は延びます。
Q. 押入れや敷居はどうなりますか?
床が上がるので、敷居との段差が変わります。敷居の撤去や、見切り材での納まりが必要になることがあります。バリアフリー化が目的なら、敷居の撤去もあわせて検討してください。
Q. 一部屋だけやると違和感が出ませんか?
廊下や隣室と床材が変わるので、見切り材で納めます。色味を近づけることは可能ですが、完全に揃えたいなら範囲を広げることになります。
まとめ
- 畳→フローリングは55mmのかさ上げが工事の中心
- フローリングは硬いので、下地の不陸・弱りがそのまま出る。畳をめくった時点での確認と補強が重要
- 捨て貼り工法なので、かさ上げの最上部は構造用合板
- 費用は6畳でおおむね15〜35万円
- 介護保険の「床材の変更」の対象。ただし身体状況上の必要性が説明できることが前提。着工前申請が必須
- 転倒時の衝撃・冷え・滑りというデメリットがある。目的に応じて床材を選ぶ
- 敷居との段差が変わるので、あわせて検討する
工事を検討中の方へ
床工事は、下地の状態で金額が大きく変わります。また「どの床材を選ぶか」で介護目的に合うかどうかも変わります。複数社に現地を見てもらい、材料の提案も含めて比較してください。一括見積もりサイトなら入力1回で複数社から見積もりが届きます。
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