室内の床の段差を「かさ上げ」でなくす方法|床組工事の手順と費用・介護保険は使える?

洗面所や勝手口まわりに1段、2段と段差があるという家は少なくありません。増築を重ねた家や、もともと土間だった場所を室内化した家に多い形です。

毎日の洗濯やごみ捨てで何度も上り下りするとなると、単に不便というだけでなく転倒の危険もあります。

この段差を解消する方法のひとつが、低いほうの床をかさ上げして高さをそろえるという工事です。この記事では、実際の床組工事の手順と費用を紹介します。

この記事でわかること

  • 段差解消の4つの方法と使い分け
  • 床組工事の構造(大引き・根太・束)
  • 根太の間隔が仕上がりを左右する理由
  • 仕上げ材の選び方と費用の目安
  • 介護保険の住宅改修が使えるか

段差解消の方法を比べる

方法費用向いている段差注意点
すりつけ板・ミニスロープ数千円〜3万円1〜5cm程度置き型はずれることがある
敷居の撤去3万〜8万円敷居ぶんの段差建具の調整が必要
床のかさ上げ(床組工事)8万〜25万円10cm以上の大きな段差天井高が低くなる/建具の調整が必要
床全体の張り替え15万〜40万円床の傷み・沈みもある場合工期が長い

段差が大きく、スロープでは急すぎて危険という場合に選ぶのがかさ上げです。床の高さそのものをそろえてしまうため、段差が完全になくなります。


このように床が1段、2段と段差があり、毎回洗濯やごみ捨てで上り下りをしていたため、簡易的に床をかさ上げし、作業する場と出入りしている部屋との高さをそろえたいと思います。


まずは、もともとあった木の板などをすべて撤去し、洗濯機などの器具もすべて移動させます。

一般の木造の建物のように、大引きや根太を用意し、束を立てて床の下地を作ります。


束は鋼製束を使用しました。プラスチックタイプなどもありますし、昔ながらの大工さんであれば、木で束を作るケースもあります。


大引きの上に根太を固定していきます。今回は上にくる床が2重張りでなく12mmのベニヤ1枚なので、そのベニヤがしならないように根太の間隔が狭く敷き詰められています。


ベニヤを張っていき、床を作っていきます。
今回はクッションフロアで仕上げました。費用もフローリングと違い、ほとんどかからず、施工時間も短く済みました。





床組の構造を整理する

部材役割備考
束(つか)床を下から支える柱鋼製束・プラスチック束・木の束
大引き(おおびき)束の上に渡す太い横材床全体の骨格
根太(ねだ)大引きの上に細かく渡す材間隔が仕上がりを左右する
下地合板(ベニヤ)根太の上に張る面材12mm 1枚張り、または2重張り
仕上げ材クッションフロア・フローリングなど—

束の種類

  • 鋼製束…高さを微調整できる。シロアリや腐食に強い。現在の主流
  • プラスチック束…軽く、腐らない。水回りに向く
  • 木の束…昔ながらの大工さんが使う。調整は現場加工

かさ上げでは高さをぴったり合わせることが目的なので、微調整のきく鋼製束が扱いやすくなります。

根太の間隔がなぜ重要か

上に張る面材の厚みと張り方によって、必要な根太の間隔が変わります。

面材根太の間隔
合板の2重張り広めでも可
12mm合板の1枚張り狭く詰める必要がある

間隔が広いと、歩いたときに床がしなってフワフワする感覚が出ます。今回の事例では12mmのベニヤ1枚張りだったため、しならないように根太を狭く敷き詰めています。

見積もりを比べるときは、「根太の間隔」と「下地合板の厚み・枚数」が書かれているかを見てください。金額だけを比べても中身の差は分かりません。

仕上げ材の選び方

クッションフロアフローリング
費用安い高い
工期短い長い
水回り強い種類による
見た目木目柄など多様本物の質感
耐久性10年程度長い

洗面所や勝手口など水を使う場所ならクッションフロアが合理的です。今回の事例でもクッションフロアで仕上げていますが、費用はフローリングと比べてほとんどかからず、施工時間も短く済みました。

かさ上げする前に確認すること

  • 建具(ドア)が閉まるか…床が上がるとドアの下が当たります。切り詰めるか、交換が必要になります
  • 天井までの高さ…かさ上げしたぶん天井が低くなります。もともと低い部屋では圧迫感が出ます
  • 洗濯機の給排水の高さ…排水口の位置と高さが変わるため、配管の調整が必要になることがあります
  • コンセント・スイッチの高さ…床が上がるとその分だけ低くなります
  • 床下の点検口…かさ上げでふさがないよう位置を検討します

とくに建具は見落とされがちです。見積もりに「建具の調整」が含まれているか確認してください。

介護保険の住宅改修が使えます

床のかさ上げによる段差解消は、介護保険の住宅改修(20万円枠)の「段差の解消」に該当します。

工事介護保険
床のかさ上げによる段差解消対象
それに伴う建具の調整付帯工事として対象になりうる
単なる床の張り替え(段差解消を伴わない)対象外

注意:申請は必ず着工前に。ケアマネジャーに相談 → 見積もり・図面・理由書の準備 → 市区町村へ事前申請 → 承認後に着工、という順番です。先に工事をすると原則として支給されません。

よくある質問

Q. 工期はどれくらいですか?

A. 3〜4畳程度の広さなら2〜4日が目安です。撤去、床組、下地、仕上げの工程があります。

Q. 洗濯機は使えなくなりますか?

A. 工事期間中は使えません。2〜4日は洗濯できない前提で予定を組んでください。

Q. 床下に断熱材は入れたほうがいいですか?

A. 冷えが気になる場所なら入れる価値があります。床を作り直すこのタイミングでしか入れられないため、迷うなら入れておくほうが後悔しません。追加費用はそれほど大きくありません。

Q. 逆に高いほうの床を下げることはできますか?

A. 構造上は可能ですが、既存の床組や基礎に手を入れることになり、費用も工期も大きくなります。通常は低いほうを上げるほうが現実的です。

まとめ

  • 大きな段差(10cm以上)は、スロープより床のかさ上げが有効
  • 構造は束 → 大引き → 根太 → 下地合板 → 仕上げ材
  • 根太の間隔が広いと床がしなる。12mm 1枚張りなら詰めて敷く
  • 水回りの仕上げはクッションフロアが費用・工期の面で有利
  • 着工前に建具・天井高・配管・コンセントの高さを確認する
  • 介護保険の「段差の解消」に該当。申請は着工前に

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床のかさ上げは、根太の間隔や下地の厚みで仕上がりが変わるうえ、建具や配管の調整が必要かどうかで金額も変わります。見積書にそこまで書いてあるかを、複数社で並べて確かめてみてください。
リフォーム一括見積もりサイト【Re:est(リエスト)】

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