浴室の立ち座りや、浴槽をまたぐ動作が不安になってきた。手すりを付けたいけれど、ユニットバスの壁は薄そうで、ビスが効くように見えない——実際、鋼板が入っていないユニットバスの壁には、直接ビスで手すりを取り付けることはできません。
ただし「付けられない」で終わりではありません。中空壁用アンカーという部材を使うことで、取り付けできる壁がかなり増えます。この記事では、その仕組みと、家庭でやってはいけないことを整理します。
まず、その壁に鋼板が入っているか
ユニットバスの壁パネルには、裏に鋼板が入っているものと入っていないものがあります。入っていれば、その位置に直接ビスを効かせて手すりを付けられます。
鋼板の有無や位置は、ユニットバスのメーカーと型番でわかることが多いため、業者はまず点検口や取扱説明書、メーカーへの問い合わせで確認します。壁を叩いた音だけで判断はできません。
鋼板がない壁でも、中空壁用アンカーで付きます
中空壁用アンカーはこのようなものです。
施工手順(業者が行う作業です)
上の写真の流れをあらためて整理します。
- 壁に6mmの穴をあける
- あけた穴の周囲を瞬間接着剤で固める … パネルの断面を丈夫にするための下ごしらえです
- 穴にコーキングをする … 手すり側の穴にもコーキング剤が回るようにします
- 中空壁用アンカーを差し込む
- ビスで固定する … このアンカーは、ビスが最後まで入ったところからさらに3秒ほど空回しします。これで壁の裏側で開いて固定されます
手順の中で、いちばん省略されやすく、いちばん省略してはいけないのがコーキングです。浴室の壁に穴をあけるということは、そこから水が壁の裏へ入る経路を作るということです。コーキングが不十分だと、数年後に壁の裏側で腐食や漏水が起きます。手すりの強度以前の問題として、ここが浴室の手すり工事の要になります。
ご自身で取り付けるのはおすすめしません
ホームセンターにも中空壁用アンカーは売っています。それでもDIYをおすすめしないのは、次の理由からです。
- 穴の位置を間違えると、やり直しがきかない … ユニットバスのパネルは部分補修ができません。開けた穴は残ります
- 壁の裏に配管や電気配線が通っていることがある … 特に浴室は給湯配管が近い場所があります
- 防水処理を誤ると、壁の裏で気づかないうちに水が回る
- 体重を預ける前提の強度が出ているか、自分では確かめられない … 手すりは転倒しかけたときに全体重がかかる場所です
「手すり1本だから」と考えたくなる工事ですが、失敗したときの損失が大きい部類の工事です。
そもそも工事しない選択肢もあります
浴室で体を支えたいだけなら、工事以外の方法も検討できます。
- 浴槽用手すり(浴槽の縁に挟んで固定するタイプ) … 介護保険の福祉用具貸与または特定福祉用具販売の対象になります。工事も穴あけも不要です
- 吸盤式の簡易手すり … 体重を預ける用途には向きません。姿勢を整える程度の補助と考えてください
浴槽をまたぐときに支えたいのなら浴槽用手すりで足りることが多く、洗い場での立ち座りや移動を支えたいのなら壁付けの手すり工事が要る、という切り分けになります。どちらが必要かは、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に、実際の動作を見てもらったうえで判断してもらってください。
介護保険の使い分け
手すりは、付け方によって使う制度が変わります。ここは混同しやすいところです。
- 壁に固定する手すり(工事あり) → 住宅改修(支給限度基準額20万円、原則1割~3割負担)
- 置くだけ・挟むだけの手すり(工事なし) → 福祉用具貸与または特定福祉用具販売
工事を伴う場合は着工前にケアマネジャーを通じて市町村へ事前申請が必要です。工事を済ませてから申請しても対象になりません。
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浴室の手すり工事は、壁の造りによって工法も金額も変わります。1社の見積だけでは妥当かどうか判断しにくいので、複数社を比べてから決めることをおすすめします。
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まとめ
- 鋼板が入っていないユニットバスの壁には、直接ビスで手すりを付けられない
- 中空壁用アンカーを使えば、取り付けできる壁はかなり増える
- 浴室ではコーキングによる防水処理が最重要。ここを誤ると壁の裏で水が回る
- 穴あけのやり直しがきかないため、DIYは避ける
- 浴槽をまたぐ支えだけなら、工事不要の浴槽用手すり(福祉用具)で足りることもある








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