トイレの交換工事を頼むと決めたあと、いちばん気になるのは「その日、トイレは何時間使えないのか」ではないでしょうか。
ご高齢の方や、トイレが近い方が同居されているご家庭では、これは切実な問題です。工事の内容そのものより、その半日をどう乗り切るかのほうが大事だったりします。
この記事では、実際の交換工事の流れを追いながら、使えない時間の目安と事前に決めておくべきことをまとめます。あわせて、ご自身で交換してはいけない理由もはっきり書いておきます。
まず:ご自身での交換はおすすめしません
便器の交換は水漏れの心配があるため、水道工事の知識がある方か、専門業者にご依頼ください。
ここは強調しておきます。便器の下は排水管の接続部です。ここの納まりが甘いと、水が漏れるだけでなく汚水が床下に流れ込みます。しかも、すぐには気づきません。床がぶかぶかしてきて初めて分かる、というケースがあります。そうなると、便器代とは比べものにならない補修費がかかります。
ネットには交換手順を紹介する情報がたくさんありますが、失敗したときの損害が大きすぎる部類の作業です。
工事の流れ
今回はこのような古い便器を交換していきます。
各工程で何をしているか
① 元栓を締める
まず水道の元栓を締めます。この時点から、家じゅうの水が使えなくなります。キッチンも洗面所もお風呂も止まります。
工事の前に、やかんやポットに水をためておいてください。これを言われないまま工事が始まって困った、という話をよく聞きます。
② 古い便器と給水管を撤去する
既存の便器を外します。長年使ったものなので、外した床には汚れが残っていることがあります。この機会に床を張り替えるかどうかは、事前に決めておいてください。便器が外れている今しかできません。
③ 床フランジを取り付ける
可変式ソケットと接続するための床フランジを取り付けます。
④ 可変式ソケットで排水芯のズレを吸収する
今の便器の排水芯は200mmが標準ですが、以前の便器は排水芯がバラバラです。今回のお宅は550mmだったため、可変幅は最大になりました。
この部材があるおかげで、床を壊して配管を移設せずに済みます。ここが工期と金額を左右するいちばん大きな点です。
⑤ 床に固定する
今回はタイル床だったので、アンカーを使って固定しています。木の床とは固定方法が違います。タイル床は割れる可能性があるため、下穴の位置や打ち方に配慮が要ります。古い住宅のトイレはタイル床のことが多いので、見積もり時に床の種類を伝えておいてください。
⑥ 便器・タンク・便座を組む
新しい便器を据え、タンクを載せ、便座を取り付けます。今回は手洗い付きのタンクがあるタイプです。
使えない時間の目安と、その日の段取り
標準的な交換(配管の移設なし・床の張り替えなし)であれば、作業自体は半日程度で終わることが多いです。ただし、次の場合は長くなります。
- 床や壁を張り替える
- 手すりの取付けや段差の解消を同時に行う
- 配管の劣化が見つかって交換する
- タイル床の解体を伴う
着工前に、この3つを業者に確認してください。
- 水が止まっている時間は何時から何時までか
- トイレが使えない時間は何時間か
- 途中で一度使える状態にできるか … 頼めば対応してくれる場合があります
そのうえで、ご家庭側の備えとしては次のとおりです。
- 飲み水・手洗い用の水をためておく
- 近隣のトイレを確認しておく … コンビニ、公園、近所のご家族の家
- 携帯トイレを用意しておく … 介護が必要な方がいるご家庭では、これがいちばん確実です。防災用として買い置きしておくと、そのまま災害時の備えにもなります
- デイサービスの日に合わせる … ご本人が日中出かけている日を工事日にできれば、問題の大半は消えます。ケアマネジャーに相談すれば日程を調整できることがあります
最後の点は、実はいちばん効きます。工事日をいつにするかは、こちらから指定していいということを覚えておいてください。
介護保険の住宅改修との関係
洋式から洋式への便器交換は、介護保険の住宅改修の対象外です。対象となる項目は「洋式便器等への便器の取替え」——和式から洋式への変更を指します。
一方、同じ工事のなかでも次の部分は対象です。
- 手すりの取付け
- 出入口の段差の解消
- 滑りにくい床材への変更 … 便器を外している今がいちばんきれいに施工できます
- 扉の引き戸への取替え・ドアノブの変更
便器を交換するなら、手すりと床材は同時にやってしまうのが合理的です。あとから頼むと、また便器を外すか、便器を避けて施工することになります。
業者には内訳を分けた見積もりを依頼し、着工前にケアマネジャーを通じて市町村へ事前申請してください。工事後の申請は認められません。
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トイレ交換は、床や手すりまで含めるかどうかで総額が変わります。同じ条件を伝えたうえで、複数社の見積を並べて比べてみてください。
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まとめ
- 便器の交換は水漏れのリスクが大きい。DIYは避ける
- 元栓を締めた時点で家じゅうの水が止まる。事前に水をためておく
- 標準的な交換なら作業は半日程度。床の張り替えや手すり工事を伴うと長くなる
- 可変式ソケットで排水芯のズレ(今回は550mm)を吸収できるため、配管の移設は不要
- タイル床はアンカー固定。床の種類を事前に伝える
- 工事日はデイサービスの日に合わせられる。ケアマネジャーに相談する
- 洋式から洋式の交換は介護保険の対象外。手すり・床材・段差・扉は対象なので同時施工が合理的
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