お風呂が寒い。床が滑る。浴槽が深くてまたげない。——直したいのは分かっているけれど、業者に相談すると「ユニットバスに替えましょう」という提案ばかりで、金額を見て話が止まってしまう。そういうご相談をよくいただきます。
ですが、在来浴室(タイル張りのお風呂)は、在来のまま直すこともできます。今回の工事では、浴槽・床・壁をほぼ全面的に直して、ユニットバス工事より30万~40万円ほど安く収まりました。
この記事では、その工事の中身と、ユニットバスにするべきか・在来のまま直すべきかの判断材料を整理します。
今回の工事:浴槽・床・壁を直しました
使った部材
床:コンクリート+「あんからプラス」
床を解体したあと、コンクリートを打設します。乾いてから、その上に「あんからプラス」という床材シートを張りました。
在来浴室の床がタイルのままだと、次の問題が残ります。
- 冬に足を乗せた瞬間が冷たい … ヒートショックの一因です
- ぬれると滑る … とくに石けんが残っていると危険です
- 目地が汚れやすく、掃除がつらい
床材シートに替えると、この3つが同時に改善します。浴室の安全対策として、費用対効果がいちばん高い工事のひとつです。
壁:「アルパレージ」という浴室用パネル
壁には「アルパレージ」という発泡樹脂製の浴室用パネルを張りました。既存のタイルの上から施工できるため、壁を解体せずに済みます。
タイル壁の問題は目地から水が入ることと、冷たいことです。樹脂製のパネルは目地がなく、触れたときの冷たさもタイルよりやわらぎます。
浴槽:向きを変えて、大きいものが入りました
古い狭い浴槽から、向きを変えたことで1200mmサイズの浴槽を入れることができました。在来浴室は寸法の自由が利くので、こういう調整ができます。
在来のまま直す、いちばんのメリット
金額以外にも、在来を選ぶ理由があります。
- 寸法の自由が利く … ユニットバスは既製サイズなので、変形した浴室や狭い浴室には入らないことがあります。在来なら現場に合わせて作れます
- 浴槽の深さ(またぎ高さ)を選べる … 昔の在来浴槽は深いものが多く、またぐのが大変です。浅い浴槽に替えるだけで、入浴の負担は大きく変わります
- 部分的に直せる … 「今回は床と壁だけ」「来年は浴槽」と分けられます。ユニットバスは全部まとめてになります
- 工期が短い場合がある
とくに2番のまたぎ高さは、介護の現場では重要です。手すりを付けるより先に、そもそも浴槽の高さを見直したほうが効くことがあります。
ユニットバスのほうがよい場合
公平に、逆のケースも書いておきます。
- 土台や柱がすでに腐っている … 在来のまま直しても、水が回る構造は変わりません。解体して直すべき状態なら、ユニットバスにしたほうが結果的に安心です
- 断熱・保温を重視したい … 保温浴槽や断熱材が入ったユニットバスのほうが、湯温の保ちは有利です
- 掃除の手間を極力減らしたい … 継ぎ目が少なく、排水口の構造も工夫されています
- 長期的に手をかけたくない
判断の分かれ目は「今の浴室の下地が健全かどうか」です。ここは解体してみないと分からない部分があるので、床下や壁の状態を見てもらったうえで決めてください。
介護保険の住宅改修との関係
浴室の工事は、対象と対象外がはっきり分かれます。
対象になるもの
- 滑りにくい床材への変更 … 今回の「あんからプラス」のような床材シートは、まさにこの項目です
- 手すりの取付け
- 洗い場と脱衣所の段差の解消
- 扉の引き戸への取替え・ドアノブの変更
対象にならないもの
- 浴槽の交換そのもの
- 壁パネルの張り替え(美観・断熱目的とみなされます)
- ユニットバスへの交換
つまり今回のような工事では、床材の変更部分だけが保険対象になります。業者には内訳を分けた見積もりを依頼してください。ひとまとめの金額では申請できません。
そして着工前にケアマネジャーを通じて市町村へ事前申請してください。工事後の申請は認められません。
なお、支給限度基準額は20万円(原則1割~3割負担)で、住まい全体で使う枠です。浴室の床で使い切ると、玄関やトイレの手すりに回せなくなります。どこに配分するかを先に決めてください。
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「ユニットバスに替えるしかない」と言われた浴室でも、他社に聞くと在来のまま直す提案が出てくることがあります。金額差が大きい工事なので、複数社に見てもらってから決めてください。
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まとめ
- 在来浴室は、在来のまま浴槽・床・壁を直せる。今回はユニットバス工事より30万~40万円安く収まった
- 床はコンクリートを打って「あんからプラス」の床材シート。冷たさ・滑り・掃除が同時に改善する
- 壁は「アルパレージ」の樹脂パネルを既存タイルの上から施工。解体不要
- 在来の利点は、寸法の自由・浴槽のまたぎ高さを選べる・部分的に直せること
- 土台が腐っている場合や、断熱を重視する場合はユニットバスが有利
- 介護保険は床材の変更・手すり・段差解消・扉が対象。浴槽交換と壁パネルは対象外
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