家の中で転倒が多いのは、階段のような大きな段差ではありません。敷居のような3cm程度の小さな段差です。
「そんな高さで転ぶわけがない」と思われるかもしれません。ところが実際には、小さい段差ほど危険だという理由が2つあります。
この記事でわかること
- なぜ小さい段差ほど危険なのか
- ミニスロープを取り付ける工事の内容と費用の目安
- 「敷居を撤去する」との使い分け
- 5cm以上の段差では別の方法が要る理由
- 介護保険の住宅改修が使えること(置くだけの製品とは制度が違います)
小さい段差ほど危険な2つの理由
| 理由 | 何が起きているか |
|---|---|
| ① 見落としやすい | 大きな段差は目に見えて誰でも気を付けますが、小さい段差は意識に上りません |
| ② 足が上がっていない | 下肢筋力が低下すると、足を上げたつもりでも上がっていないという現象が起きます |
この2つが重なるため、家の中でもかなり転倒が多い箇所になります。しかも室内なので、本人も家族も危険な場所だと認識していません。
「毎日通っている場所だから大丈夫」は理由になりません。むしろ毎日通る場所だからこそ、無意識に足を運んでつまずきます。
ここからは、実際の工事を見ていきます。
昔ながらのお宅にはこのような3cm程度の段差は多くあると思います。
この段差が意外にも転倒しやすい箇所なんです。
大きな段差は目に見えて皆さん気を付けられるのですが小さい段差ほど見落としがちです。
また、下肢筋力の低下があると足を上げたつもりが上がっていなかったという現象が起きます。
ミニスロープのメリットとデメリット
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 工事が安価/つまずきそうな段差を解消できる/車いすや歩行器を使うときにも役立つ |
| デメリット | 5cm以上の段差ではスロープが長くなり、上に乗ったときに不安定になる |
デメリットの理由は勾配です。段差が高いほど、緩やかにするために長さが必要になります。長いスロープは、その上に立ったときに前後に不安定になります。
| 段差の高さ | 適した方法 |
|---|---|
| 1〜4cm程度 | ミニスロープが最適 |
| 5cm前後 | スロープでも可能だが不安定さが出る |
| 5cm以上 | 敷居の撤去や床のかさ上げを検討 |
敷居の高さを測ってから方法を決めてください。3cmならスロープ、7cmなら撤去、という判断になります。
「スロープを付ける」と「敷居を撤去する」の使い分け
| ミニスロープ | 敷居の撤去 | |
|---|---|---|
| 費用 | 安い | 高い |
| 工期 | 短い(即日) | 1日〜 |
| 仕上がり | 段差は残るが緩やかになる | 完全にフラットになる |
| 建具 | そのまま使える | 引き戸のレールをどうするか要検討 |
| 掃除 | スロープの際に埃がたまる | 楽 |
| 車いす | 通れる | いちばん通りやすい |
| 元に戻す | 比較的容易 | 戻せない |
迷ったらまずスロープです。安価で工期も短く、それで解決するなら撤去まで踏み込む必要はありません。住宅改修の20万円枠を温存できるのも利点です。
ただし車いすで日常的に通るのであれば、最初から撤去してフラットにするほうが結果的に快適です。
費用の目安
| 工事 | 費用の目安 | 1割負担なら |
|---|---|---|
| ミニスロープの取り付け(1か所) | 10,000〜30,000円 | 1,000〜3,000円 |
| 敷居の撤去(1か所) | 30,000〜80,000円 | 3,000〜8,000円 |
建物の状態や敷居の構造で変わります。複数か所をまとめて行うと、1か所あたりの単価は下がります。家の中の段差を一度に見直すほうが効率的です。
介護保険の「段差解消工事」に該当します
ミニスロープの取り付けは、介護保険の住宅改修(20万円枠)の「段差の解消」にあたります。
ここで注意したいのが、同じスロープでも「取り付ける」か「置くだけ」かで制度が変わるという点です。
| 取り付ける(工事) | 置くだけ(持ち運び可能) | |
|---|---|---|
| 制度 | 住宅改修 | 福祉用具貸与 |
| 枠 | 20万円 | 月々のレンタル料 |
| 要介護度 | 制限なし | 制限なし |
| 手続き | 着工前の申請が必須 | ケアマネジャーへの相談 |
| ずれ | 固定するのでずれない | ずれることがある |
固定してしまうほうが安全性は高くなります。置き型はどうしてもずれる可能性があり、そこが新たなつまずきの原因になることがあります。長く住む家であれば、取り付けてしまうほうが確実です。
住宅改修は必ず着工前に申請してください。ケアマネジャーに相談 → 見積もり・理由書の準備 → 市区町村へ事前申請 → 承認後に着工、という順序です。先に工事をすると原則として支給されません。
家の中で見直すべき段差
敷居だけではありません。次の場所も確認してください。
- 和室と廊下の境…畳の厚みぶん段差になっています
- 洗面所・脱衣所の入口…水回りは床材が変わるので段差が生まれやすい
- トイレの入口…夜間に通るので特に危険
- 玄関の上がり框…ここは高いのでスロープでは対応しきれないことが多い
- 掃き出し窓の内側
- フローリングとカーペットの境目
夜間にトイレへ行く動線は最優先で見てください。暗く、寝ぼけていて、急いでいる——転倒の条件がすべて揃っています。
よくある質問
Q. 木製と樹脂製どちらがいいですか?
A. 室内なら木製が床になじみ、見た目も落ち着きます。水回りや屋外なら樹脂製が適しています。木製は水に濡れると傷みます。
Q. 引き戸のレールがある場合はどうなりますか?
A. レールがあると、その分だけ形状の工夫が必要になります。戸の開閉を妨げない形に加工します。現地を見てもらってください。
Q. スロープの端でつまずきませんか?
A. 端が薄く仕上げられていれば問題ありません。ただしスロープの幅が足りないと、横から乗ったときに端でつまずきます。通る幅いっぱいに取り付けるのが基本です。
Q. 掃除機は引っかかりませんか?
A. 段差が緩やかになるぶん、むしろ通しやすくなります。ただしスロープの際には埃がたまりやすいので、そこは意識して掃除してください。
Q. 賃貸でもできますか?
A. 取り付け工事になるため大家さん・管理会社の承諾が必要です。承諾が得られない場合は、置き型のスロープを福祉用具のレンタルで使う方法があります。
まとめ
- 家の中の転倒は3cm程度の小さな段差で多く起きる
- 理由は①見落としやすい ②足を上げたつもりで上がっていない
- 1〜4cmならミニスロープが最適。安価で即日
- 5cm以上はスロープが長くなり不安定。撤去やかさ上げを検討
- 介護保険の「段差の解消」に該当。着工前申請が必須
- 取り付ければ住宅改修、置くだけなら福祉用具貸与と制度が変わる
- 夜間のトイレへの動線から見直す
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家の中の段差は1か所だけということが少なく、まとめて直すほうが単価も下がります。何か所あるか現地を見てもらったうえで、複数社の見積もりを並べて比べてみてください。
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